塗装業から出発し10業種の許可を持つまでに至った背景
平成25年に個人事業として産声を上げた株式会社溝口美装は、建設塗装を起点に事業領域を段階的に拡張してきた。令和2年7月の法人化を経て、三重県知事許可の一般建設業許可を塗装工事業・土木工事業・建築工事業・解体工事業・とび土工工事業・石工事業・鋼構造物工事業・舗装工事業・しゅんせつ工事業・水道施設工事業の10業種で取得している。資本金500万円、代表取締役は溝口敦氏。三重県津市寿町に本社を置き、百五銀行および三十三銀行と取引関係を維持しながら堅実に経営を続けてきた。
個人的に印象的だったのは、塗装屋が解体やしゅんせつまで手がけているという守備範囲の広さだ。防水工事、仮設足場の設置、舗装、リフォーム、さらにはごみ回収事業まで請け負う体制を整えている。産業廃棄物収集運搬業の許可も取得済みで、工事で発生する廃棄物の処理まで自社で完結する。創業から10年あまりでここまで業種を広げた企業は、地場の建設業者のなかでもそう多くはない。
有資格者の配置と現場安全への取り組み
一般塗装技能士1名、建築二級施工管理技士1名、土木二級施工管理技士1名が在籍し、施工管理の核を担っている。注目すべきは安全管理系の資格保有者の層で、有機溶剤作業主任者が5名、石綿作業主任者が2名、一般建築物石綿含有建材調査士も2名配置されている。塗装現場では有機溶剤や石綿含有建材への対応が避けて通れず、こうした資格者が複数名いることで現場ごとに専任配置が可能になる。法令遵守と作業者の健康管理を同時に成立させる布陣だ。
職人同士が現場での工夫や施工上の気づきを日常的に共有している、という話は取材中にも繰り返し出てきた。最新工法や業界動向のキャッチアップも個人任せにせず、組織として取り組んでいるようだ。経験年数の長いスタッフが若手に技術を伝える流れが自然にできており、属人化を防ぐ仕組みとして機能している。資格の数だけでなく、現場で知識が循環している点に実力の根拠がある。
施工事例の公開と顔が見える関係づくり
株式会社溝口美装はビフォーアフター形式の施工事例を積極的に公開し、依頼前の段階で仕上がりを具体的にイメージできるようにしている。塗装の色味や下地処理の違いが写真で比較できるため、「頼む前に不安だったが事例を見て決めた」という声が目立つ。職人のプロフィールや人柄も併せて紹介しており、どんな人間が自宅に来るのかを事前に確認できる。施工後の定期メンテナンス提案やフォロー連絡も継続的に行っている。
たとえば外壁塗装の依頼であっても、現場で屋根や基礎部分の劣化に気づけば、その場で追加の相談に応じるケースがあるという。10業種の許可を持つからこそ、塗装の枠を超えた提案がすぐに出せる。一度関係を築いた施主からリフォームや解体の依頼が続くパターンも珍しくなく、建物の「かかりつけ」のような立ち位置で長期間付き合う事例が増えている。
営業時間・支払い方法と依頼のしやすさ
朝8時から夜19時まで、不定休で営業している。三重県津市を拠点に県内全域へ対応しており、近県からの相談にも応じる姿勢を取っている。工事内容ごとに別の業者を手配する手間が省けるため、施主側の負担は大きく減る。進行管理や品質管理を一社で完結させる運用により、業者間の連携ミスや情報の行き違いが起きにくい。
支払い方法は現金振込のほか、オリコプロダクトファイナンスのリフォームローンにも対応している。まとまった費用を一括で用意しづらい場合でもローンを活用して工事に踏み切れると感じる利用者も多い。問い合わせから見積もり、着工までのスケジュール調整も施主の都合に合わせて組むため、仕事を休んで立ち会う回数を最小限に抑えられる。平日の日中に時間が取りにくい依頼主には、この柔軟さが決め手になっているようだ。


