設計事務所という枠に収まらない立ち位置
建物を設計して引き渡す——その一般的な設計事務所の像から、株式会社SPROUTZ Studioは少しはみ出しています。建築・空間デザインに加えて、拠点のプロデュースやブランディング、事業開発、そして完成後の運営支援までを同じ組織が担うためです。ひとつの案件を、設計者・事業の相談役・運営の伴走者という複数の立場から見られることが、この事務所の際立った点になっています。工程ごとに担い手が入れ替わらないぶん、最初に交わした構想が最後まで筋を保ちます。
この立ち位置は、若い組織ならではの身軽さとも重なります。2024年の設立、2025年7月の法人化という段階にありながら、全国そして海外のプロジェクトまで相談を受けているのは、領域をまたいで動ける体制があるからです。
ブランドの方向まで含めて場所を立ち上げる
拠点プロデュース・ブランディングの領域では、プロジェクトの目的や地域性を整理し、コンセプトづくりから関わります。拠点のビジョン設計、ブランド戦略、クリエイティブの統括、プロジェクト管理までが対応の範囲に入ります。建物の見た目を整えるだけでなく、その場所が誰に向けてどんな存在でありたいのかという問いから設計を始める姿勢です。器と中身を切り離さない進め方が、多くの人が集まり続ける場所につながっていきます。
完成後のにぎわいまで設計に織り込む
株式会社SPROUTZ Studioの視野は、竣工の日で止まりません。拠点の運営・活性化支援として、地域とのつながりやコミュニティの形成を後押しし、運営体制の構築や共創プログラムの企画に取り組みます。コミュニティデザインや共創プログラム、運営支援といった対応内容は、建てた場所を生きた状態に保つための仕掛けです。正直、設計の段階から「その後の人の集まり方」まで考える事務所は、そう多くない気がした。
領域を分けないから通る一本の線
建築・インテリア・家具・ランドスケープを総合的に計画できる体制は、規模や用途の違いを越えて考え方をそろえる支えになります。代表の浅子雄祐が公共建築や地域拠点の企画・運営まで経験してきたことも、設計と運営をつなぐ視点の下地になっています。事業のビジョンや土地の履歴を読み解き、そこから次の世代へ渡せる場所を描く。株式会社SPROUTZ Studioの独自性は、領域を分けずに引き受ける一体感そのものにあります。
北欧で培ったサステナブルデザインの思想も、この一体感を後ろから支えます。長い時間軸で場所をとらえる視点があるからこそ、設計・事業・運営を別々のものとして切り分けずに済みます。ひとつの案件を貫く一本の線が、この事務所の輪郭を形づくっています。


